東小岩の「山田や酒店」併設の築92年の木造蔵「The East End Gallery」(江戸川区東小岩5)で現在、オーナー山田秀寿さんによる個展「bliss」が開かれている。
それぞれの木版画・油絵の中に「bliss(至福)」が存在している
「bliss」は至福という意味を持つ英単語で、山田さんの中にある喜びや、日常の中で見つけた幸せな瞬間、心の支えとなっている江戸川沿いの木などを木版画・油絵で表現し展示している。会場となっている築92年の蔵は、山田や酒店(東小岩5)に併設しているギャラリー。2024年から、アートスペースとしての活用を開始し、自身がアーティストでもある山田さんが国内外のアーティストらを招致して企画展を開いている。
同展では、木版画を中心に大型の色鮮やかな作品が並ぶ。山田さんは「木版画は、仕上がりを見る瞬間までどう完成したか分からないワクワクさがある。木の目や流れ、種類によって彫りやすさも変わり、自然と向き合い、没頭してゴールを目指す作業が登山に似ていると感じる。木と対話しながら、黙々と進めていく面白さがある」と話す。
山田さんが影響を受けたというギャラリーエフ(台東区寿)での出来事や、思い出が反映された作品も多く並ぶ。2018(平成30)年の作品「聖夜」は、人間が持つ喜びや幸せが、天寿を全うしながら天に上がっていく様子を表現している。鮮やかなグリーンと大きな文字が印象的な「YES-Green-」については、「インターネット社会によって、目に入る情報からネガティブな影響を受けてしまうことも多い現代だが、『YES』という言葉で自分や周りを全肯定したいという願いを込めた」という。
作業工程について山田さんは、「版画用の塗料は意外とバリエーションが少ない。その中で色を合わせて、作っていくのもアナログで面白い作業。反対色を重ねると、立体的に見えることもある」と振り返る。
「江戸川を渡って、千葉県市川市の里見公園の近くに自分が好きな木がある。瞑想(めいそう)の木と呼んでいて、息詰まるとその木に会いに行き元気をもらっている。そういった体験も木版画で表現した。忙しい毎日の中にも小さな喜びはあって、それぞれの作品の中に『bliss』が存在している。至福の空間を、ぜひ楽しみに来ていただけたらうれしい」とも話す。
営業時間は13時~21時(金曜・土曜は22時まで)。木曜定休。9月27日まで。