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江戸川をつくる人 第9回 第二寿湯店主・江戸川区浴場組合支部長 鴫原和行さん

「ともに生きる、銭湯。未来に残していける『風呂屋』でありたいなぁ」

 江戸川区は、大田区に次いで都内第2位という銭湯数の多さを誇る。現在、江戸川区浴場組合に加盟の銭湯は22軒ある。1964(昭和39)年に創業し、今年10月26日にリニューアルオープンを迎えた第二寿湯(江戸川区江戸川1)店主の鴫原和行(しぎはら・かずゆき)さんは、「地域と共に生きる日常のなかの銭湯」をコンセプトに長年営業を続けてきた。江戸川区浴場組合の支部長も務め、多くの区民に親しまれている銭湯応援キャラクター「お湯の富士」の生みの親でもある。

 

 特集「江戸川をつくる人」の第9回は、常に柔軟な発想で、地域に根差した銭湯経営を続けてきた鴫原さんを訪ねた。

 -編集部:リニューアルオープン、おめでとうございます。すごくモダンでバリエーションに富んだ浴場ですてきですね。新装にかけた思いをお聞かせください。

 鴫原さん:「思いとしては…昨今、段々と数が減っていってしまう銭湯業界の現状に寂しさを感じる部分がありました。後継者がいないとか、老朽化でどうしても閉業となってしまう銭湯は増えています。銭湯は、地域の人たちにとってコミュニティーの場となっていたり、防災拠点となっていたりもするので、どうにか次世代に残せる銭湯にできたらと思いました」

  -編集部:これまでの取材でも、鴫原さんの話を度々聞かせていただきましたが、いつも地域の人々のことを第一に考えていらして、来てくれる、あるいは住んでいる皆さんの憩いの場となればという思いを強く感じていました。

 鴫原さん:「そうですね。銭湯は皆さんと一緒に、街の中に住んでいると思っているのです。温かいお風呂に入って癒やされるだけでなく、居合わせたお客さま同士でコミュニケーションを取ったり、小さいお子さまを連れた家族が来てくれてマナーを覚えたり、これだけ水を貯めておけるので、災害時の役に立てる場所になれたり…。いろいろな可能性があるからこそ、次世代に残していかないとと思っています」

 -編集部:ずっと通っていらっしゃるお客さんも多いと思いますし、近年は若い方も増えているのでは?

 鴫原さん:「やはり、今、温浴ブームというのがありますから年々若い方の利用は増えています。でも、あえてサウナを作らなかったんです。サウナは区内のほかの銭湯にもあるので、いろいろ回って楽しんでもらって、うちではじっくりゆっくり、温冷交代浴を楽しんでもらいたいと思って設計をお願いしました」

 -編集部:新たに「高濃度浸透炭酸泉」と「水風呂」が設置されましたね。ユーザー目線でも、とても楽しみです。 

  

鴫原さん:「常連さんにも、若い世代の方にも楽しんでもらえるように考えてみました。もともと、江戸川区内では唯一の『バドガシュタイン鉱石』が浴槽内にあったのですが、それを炭酸泉の椅子にも少しおいて、体が芯まで温まるような工夫をしています。水風呂は、季節にもよりますが大体18度くらいに設定する予定です。ぜひ、交代浴を楽しんでいただければ」

炭酸泉本来の持つ保温効果に加えて、バドガシュタイン鉱石からも体を内部から温める成分が。

-編集部:新旧が混在したコンセプトで、すごく魅力的ですね。第二寿湯では「ニューヨーク寄席」や銭湯昔遊びなど、いろいろなイベントを開いたり、「お湯の富士」のグッズも豊富に販売していますね。

鴫原さん:「人が集うランドマークになれたらとも思っています。何気にみんなで支え合って生きていけたらいいですね。江戸川区のテーマも『ともに生きる』ですから。世代間でギャップを生むような場所であってはならないと思っていて、幅広い世代の人に足を運んでもらえたらうれしいです。『お湯の富士』のグッズも増えました。リニューアルを記念した新しいTシャツも26日から販売します」

 -編集部:グッズが豊富で、デザインも毎回すてきですね。鴫原さんが考案しているのですか?

鴫原さん:「もちろん細部はデザイナーにお願いしていますが、コンセプトは僕が考えて依頼しています」

 -編集部:新しくなった番台に、たくさんグッズが並んでいてかわいいですね。

   

千葉県立柏の葉高校の学生が考案した千葉県とのコラボスタンプラリーグッズ。

鴫原さん:「今、江戸川区浴場スタンプラリーと、千葉県とコラボしたスタンプラリーも開催していて。景品もグッズと一緒に並べています。ぜひ、あちこち足を運んで楽しんでください。銭湯って、古くはよくあちこち回遊して楽しまれていたものだったんです。区内にもいろいろバリエーション豊かな銭湯がそろっています。第二寿湯は、日常の中にある非日常を皆さんに提供できたら良いなと。女性の脱衣所には化粧水などのアメニティーも用意しています。仕事帰りに疲れを取ってもらって、ホッとできる空間を提供したい」

ドライヤーは男女ともに無料で使用できるやさしいサービスが。

最新の江戸川区内浴場がコンパクトにまとめられたMAP。インバウンド反響も大きいそう。  

-編集部:本当に柔軟で、ユーザー目線で見てもうれしい工夫でありがたいです。

鴫原さん:「未来につないで銭湯を残していけるよう、次の世代にも任せられるよう整えています。運営の負荷も減らせるよう、設備においても自動化を導入しました。時間になると、タイマーでお湯が沸く設定になってるんです。いつか自分の息子がこの銭湯を継いでくれたらと考えていて、その時にあまり大変にならないようにしたいなと、リニューアルのタイミングで一新しました。通ってくださる人たちにとっても、これからのニューファミリー層にとっても快適であるように、みんなが少しずつ譲り合って使い続けていける、そんな『風呂屋』でありたいなぁ」

 ブラウンで温かみのある脱衣所から、縁側に出て休むこともできる。

リニューアル前の銭湯から引き継がれた「欄間」。男湯と女湯の仕切りの上部にあったもの。それぞれの脱衣所に飾られている。

-編集部:鴫原さん、リニューアル準備のお忙しい中、すてきな思いをたくさん聞かせてくださりありがとうございました。第二寿湯が江戸川区にあって、良かったです。

新しいペンキ画も、銭湯絵師・田中みずきさんが手掛けた。「お湯の富士」の横に、鴫原さんファミリーが大切にしているペットのトイプードルが描かれている。

10月26日、リニューアルオープンを迎える第二寿湯の外観。