
本棟(ほんむね)造りの古民家「甲和郷(こうわごう)」(江戸川区南小岩2)で6月21日、庭園を会場にしたマルシェイベント「えどにわ市」と、屋内を会場としたトークイベント「共生社会について話し合おう」から成る縁日が開かれた。
「えどにわ市」と「共生社会について話し合おう」のトークイベントが開かれた甲和郷
同施設は、16年前に長野県中信地方の古民家をモデルに建てた「旧山内邸」。現在は地域住民の交流と共生を促す新たな居場所として活用されている。毎月第3土曜日にイベントを開く「ハレの日」と、毎週木曜日の無料開放「ケの日」(13時~16時)を組み合わせ、日常と非日常の双方から住民の憩いの場づくりを進めている。
今回の「えどにわ市」では、ボランティアチームや近隣商店などがつながり、社会福祉法人「江東園」、移動販売ベビーカステラの「あたしんち」、南小岩のパン店「トラネコベーカリー」、西小岩のコーヒー店「御豆屋」などが出店。訪れた人々が和やかな雰囲気の中で交流や買い物を楽しむ様子が見られた。
トークイベントでは、なごみの家・一之江所長で江戸川総合人生大学講師の熊谷恵津子さんが、「多世代が関わり合うコミュニティの『つなぎ手』として」をテーマに、身近な暮らしのつながり合いについて、参加者と共に考えた。
甲和郷のオーナーは、居場所ボランティアとして活動する山内裕紀子さん。山内さんは「父が建てた家を譲り受けたことをきっかけに、地域に役立つ空間としての活用を考えるようになった。熟年相談室、なごみの家、ボランティアの皆さんなど多くの方々のサポートを受けながら、地域住民の憩いの場として徐々に浸透してきている。『ハレの日』だけでなく、日常の中でも気軽に立ち寄れる場として『ケの日』も開放している」と話す。
「縁日の出店者は運営側から声掛けしているが、この場で出会って新たに参加する方もいる。つながりが自然と生まれる様子は励みになる。憩いの場として会話を楽しんだり、一人でふらっと散歩に来たり、一休みしに来たり、それぞれの人生の日常に『甲和郷』が存在してくれたら。庭園の草木も、季節ごとに飽きない彩りを見せてくれる。今後、さらに活用の幅を広げていけたら」と意気込む。