江戸川区の引きこもり対策事業で「居場所作り」として取り組む「駄菓子屋居場所よりみち屋」(江戸川区瑞江2)が2月27日で1周年を迎えた。
昔ながらの駄菓子店をイメージした地域コミュニティーで、引きこもり対策や就労体験事業を行う目的で開設。昨年1月に居場所として交流スペース・休憩スペースと駄菓子店をオープン、2月27日に就労体験の受け入れを始めた。
令和に入り「住民の1%に及ぶ引きこもりがいる可能性がある」と内閣府からの調査指示を受け、区が独自に全戸調査したところ、引きこもりと思われる区民が9000人を超えることが分かった。
区では、ひきこもってしまった人たちが外に出るきっかけとして相談員による窓口の開設と、「居場所作り」「就労支援」を目的とした「よりみち屋事業」を立ち上げ、それぞれ専門家に委託した。
居場所となる同所では、ゲーム機やタブレット端末の貸し出し、ボードゲームなどを通じ、引きこもり当事者に加え、子どもから高齢者まで幅広い人が利用できる空間を提供する目的で利用制限は設けていない。駄菓子店をきっかけに同所を知る住民も多く、開設からの1年間で700人以上が利用しているという。
「子連れでやって来て、職員とお子さんが一緒に過ごしている間にパソコンで仕事をするママもいる。多様性を大切に居場所の空気感を作っている」と石川玲子店長。
就労支援の受け入れとしては、施設内の掃除や駄菓子の仕入れ、POP作り、値段付け、接客など基本的な店舗運営業務などで、ネットを使った作業が得意な利用者に対してはSNSを通じた広報やイベントチラシのデザインなどを担当させることもある。
引きこもり相談支援事業と連携し、相談員が付いている対象者に就労体験を提供する。利用者の中からの就労実績が既に数件あり、就労後にも同所を訪れ、職場での近況などを話しに訪れるという。
よりみち屋運営に関する「よりみちミーティング」、雑談をテーマにした茶話会、ボードゲームの会、読み聞かせの会など、ほぼ毎日、何かしらの企画を実施。フラッと訪れた1回目の利用から2回目、3回目の継続的な利用につなげるため横のつながり作りを意識したプログラムを作り、就労体験に向けてステップを踏めるよう考えているという。
開設時間は11時~17時。土曜・日曜・祝日定休。