
東京芸術大学学長でアーティストの日比野克彦さんが企画・監修する「えどがわBOXART展」の作品募集に合わせた関連イベント「自分とは何かを考える」ワークショップが10月6日、江戸川区総合文化センター(江戸川区中央4)で開かれた。
今年で5回目となる同展のテーマは「箱の中に自分を表現してみよう 箱の中にある他者の気持ちを受け入れてみよう」。ワークショップは9月、10月と2回開き、それぞれ30人、18人が参加した。「えどがわBOXART展」は区内外を問わず、誰でも作品応募ができる。
ワークショップでは今年も、日比野さんが登壇。参加者に無作為に19枚の色画用紙を配布。配られた6色の色画用紙をそのまま使う人、他者に声がけをして欲しい色のものと交換する人など、さまざまな様子が見られた。参加者は机を画用紙で埋め尽くし、眺める中、日比野さんは「中秋の名月を庭で眺めるような無の気持ちになってみよう」とヒントを出した。
参加者は、気になる二枚を手に取り、自由な造形で折って画用紙の庭に立たせた。さらに、別の画用紙を20以上にちぎり、貼り付ける作業を行った。他者の作品を前に「何だか、とてもいいですね」と自然発生的に声が上がり、コミュニケーションを取る様子も。
目の前に広がる画用紙の庭を前に、日比野さんは「〇〇の物語、〇月(〇月は自分の誕生月)のある日の出来事でした。私は~」から始まる物語を作ってみてほしいと続けてヒントを出す。それぞれが考えた物語の内容は3人1組のグループで発表、最後には全員で円形に机を並べて複数人が発表し合い、感嘆や称賛の感想を送り合う様子が見られた。
日比野さんは「プロセスを体感することで、自分の世界観が生まれる。運命的に配られた紙を、自分の力で見立てていく経験は、自分の一日をどう見立てていくのかにつながるのでは。多くの出来事が起きる日常の中で、自分とは何かをこれからも考えていってもらえたら」と締めくくった。
ワークショップ後のインタビューでは「テーマは一貫しているが、参加者数や季節によって内容を変えている。今回は中秋の名月に合わせ季節感を出してみた。誰でも、自分の中に答えを持っているので、それを誘導できるようヒントを投げかけた。ボックスアートを作る工程で、そのプロセスを楽しむ、身近なものからヒントを得て、流れるように何かが見え、生まれてくることを楽しむのは、人生の中の豊かな時間になるのでは」と振り返る。
「えどがわBOXART展」のエントリーは10月15日までで、10月16日~31日に作品を受け付ける。応募作品は審査の上、同館中央ロビーに展示し、12月7日に授賞式を行う。