
改築工事中の江戸川区立上小岩小学校(江戸川区北小岩7)で7月26日、「上小岩遺跡」発掘調査報告会が開催された。会場には、近隣住民や在校生、卒業生ら約150人が集まり、遺跡から出土した土器類などを見学した。
同校では2020年以降、学校改築工事に伴い江戸川区教育委員会教育推進課文化財係が発掘調査を行い、近世(江戸時代)にかけての遺構・遺物(主な遺構に住居址など)を発見している。今回の報告会では調査結果の概要を説明した。
会場では、弥生時代後期~古墳時代の坩(かん)や甕(かめ)などの土器のほか、16世紀末から17世紀初頭にかけて使われたと見られる灯明皿、近代の生活用品など、多様な出土品を公開。多くの人が出土品に関心を寄せながら見学する様子が見られた。開会に合わせ、地元北小岩六東自治会がおはやしを披露し、児童らも法被姿で和太鼓などを演奏した。
同遺跡は1952(昭和27)年、小岩第三中学校の生徒が自宅裏の用水路で数個の土器片を採集し、同校担任・中村進教諭に連絡したところから調査が始まった。中村さんは採集と研究を始め、およそ30年間にわたる同遺跡採集調査の中で、約30,000点に及ぶ遺物を発見した。
同区教育推進課文化財係の北島大介さんは「今回の報告会を通じて、上小岩小での発掘成果を多くの方に知っていただけてうれしい。今後は比較調査や他の出土遺構の調査も進めていく。今回の報告は一区切りだが、新たな知見が得られれば再度、会を開きたい」と話す。