東小岩の「The East End Gallery」(江戸川区東小岩5)で3月28日、「禁演落語を聞く会」が開かれ、真打ち・柳家権之助さんが高座を務めた。た。同館で開催中の、ポーレ・サヴィアーノ(Paule Saviano)さんが撮影した、東京大空襲の被災者や広島・長崎の原爆被爆者、爆撃被災者のポートレート展「From Above」の連動企画。
壁一面にポーレさんによる戦争の記憶を静かに物語るポートレートを展示する同展。被写体一人一人の視線に見守られる中、権之助さんが「禁演落語」を披露した。
同ギャラリーオーナーの山田秀寿さんは「禁演落語とは、かつては不謹慎であるというレッテルを貼られ、落語家たちが自ら封印を選んだ演目。空襲という外部からの破壊を記録した『FROM ABOVE』に対し、禁演落語はかつての軍事国家の内側における表現の自由への抑圧を象徴している」と話す。
「戦火を免れた築91年の蔵という空間で、この2つの歴史が交差した瞬間、私たちは歴史が単なる過去ではなく、今を生きる私たちのすぐそばにあることを再確認できたように思う。かつては禁じられ、本音を隠さざるを得なかった時代の話が、2026年の今、再び自由な空気の中で解き放たれたことは感慨深い」とも。
権之助さんの表現豊かで、時に緊張感に満ちた高座に、会場は和やかな笑いに包まれた。当時のはなし家を取り巻く環境も解説し、「深く魅了された」と感嘆する参加者の声も聞かれた。
山田さんは「平和への不安が揺らぐ現代において、83年前に戦禍の経験を落語として写真展の中で聞いたことは、私たちに『平和とは何か』を改めて問い直さずにはいられない。極めて意義深いひとときとなった」と振り返る。