アメリカ人写真家ポーレ・サヴィアーノ(Paule Saviano)さんが撮影した、東京大空襲の被災者や広島・長崎の原爆被爆者、ウクライナ戦争を含む爆撃被災者のポートレート展「From Above」が3月10日、The East End Gallery(江戸川区東小岩5)で始まった。
アメリカ人写真家ポーレ・サヴィアーノ(Paule Saviano)さん
ニューヨーク在住のポーレさんは昨年初めて同ギャラリーで展示を行い、NHKワールドニュースなどで取り上げられるなど、大きな反響を呼んだ。2回目となる今年の展示では、約20点の作品を展示。3月14日にギャラリートークを開くほか、28日には落語家・柳家権之助さんによる「禁演落語を聴く会」も予定している。
「From Above」は日本語で「上空より」を意味する。ポーレさんは2008(平成20)年、太平洋戦争における東京大空襲の生存者への取材・撮影を開始。以来、広島・長崎の被爆者、ドレスデン(ドイツ)、ビェルニ(ポーランド)、コヴェントリー(イギリス)、ロッテルダム(オランダ)、ウースチー・ナド・ラベム(チェコ)の空爆生存者のポートレートを撮影してきた。被写体となった体験者は、昨年亡くなった俳優・仲代達矢さんを含め200人を超える。
ポーレさんは2時間かけて取材・撮影を行い、一人一人と向き合う。「From Above」は日本国内をはじめ、ドイツ、ニューヨーク(国連本部)など欧米各地で開催するとともに、2011(平成23)年には同タイトルの写真集も出版。展覧会には若者を含む幅広い世代が数多く訪れる。
同ギャラリーオーナー山田秀寿さんは「会場となるのは東京大空襲の戦火を免れ、戦中も小岩に存在していた酒販店の蔵を再生したアートスペース。現在も奇跡的に残されたこの空間で、過去の爆撃生存者たちのポートレートが現代を生きる私たちに何を語りかけるのか。その声に耳を傾ける機会となれば」と話す。
ポーレさんは「世界中で恐ろしい出来事が起こっているにもかかわらず、ほとんどの人が自分や他人の周りで何が起こっているのか気づいていないのは、残念なこと。耳を傾ける気持ちの欠如が蔓延し、意見は事実として扱われ、人々は見たいものだけを見ようとしているように思う」
「人々が互いに耳を傾け、目の前の現実を見始めるまで、世界は変わらないと思う。簡単なことのように思うが、簡単なことこそが最も難しい場合がある。私はジャーナリストであるという理由で何度も脅迫されてきた。そして私自身も含め、私の人生で多くの人が、自分の信念、自分自身、あるいは自分が選んだライフスタイルのために自由を奪われている。唯一の選択肢は、私たちが何者であるかのために立ち上がること。さもなければ、私たちは消滅してしまう」と話す。
開廊時間は13時~21時(金曜・土曜は22時まで)。木曜定休。「禁演落語を聴く会」は3,000円(1ドリンク含む)。要事前申し込み。4月8日まで。